ひなた野乃子のブログ

その日その日のつれづれ日記です。竹本祥子、祥で詩を書いています。

最終章

新作のブックレットから、一個、アップさせていただきますね。

 

どうぞ、読んでみてくださいね。

 

 

最終章

 

見詰める掌に

ポツリと落下する

一滴の残像

砂嵐のテレビ画面のよう

寝起きに忘れた夢のよう

 

セロハンテープで

それらを封印しながら

生命線を辿ってゆくと

深爪の鮮血が

人差し指から溢れ出す

 

真一文字に結ばれた口に

耳を澄ますと

ぽろぽろこぼれてくる

愚痴の数々

母を背負ってランチに行けば

丸呑みされる数々の愚痴

 

コップ一杯に注がれた

水で予防薬を

飲むことになっているらしいから

シートベルトをして

出発進行

忘れ物はない