ひなた野乃子のブログ

その日その日のつれづれ日記です。竹本祥子、祥で詩を書いています。

自作の詩(龍舌蘭200号掲載)

事故

                竹本祥子

 

墓場まで持って行く

数々の言霊

絡む朱と朱の飛沫

会えない現実に辟易するから

ラインで繋ぐ

人差し指

 

指にはまだあの事故の

湿温がある

エアバッグまで飛び出た

追突のショックで

舌まで噛んだ

いっそ死ねばよかったか

 

それでも夢は消さない

開かないドアをこじ開け

飛び出た世界は

昨日までのわたしを

封印する