ひなた野乃子のブログ

その日その日のつれづれ日記です。竹本祥子、祥で詩を書いています。

無傷

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無傷(あかし)から

無傷

          竹本祥子

 

三人でジャンケンして

負けた者はいないのでした

 

万華鏡を覗いて気がふれた一人は

子を生すことなく老女となり

魔法の水を飲んだ一人は

四人の子を生し童女となったのでした

 

それから老女は正気に戻り

森の扉を開けると

負傷兵やら餓鬼やらが棲む

川を渡って

三角点にたどり着き

冗長の日々を過ごしたのでした