ベージュの薔薇
竹本祥子
コバルトブルーが流れる
マゼンダが流れる
外血管も内血管も
体細胞全部が流れ出して
私はいなくなる
私の葬式は日常の中で営まれ
また 忙しい人々の忙しい毎日が流れる
人は自分の意志とは関係なく生まれ
ほぼ意志とは関係なく絶えてゆく
その中で何が変わる?
何がわかってゆく?
世紀の節目に立ち会っても立ち会わなくても
新聞の活字が読めようと読めまいと
天の日と 空気と それぞれの社会と
人々の思惑が渦巻く
目の前に敷かれた道への不安に向かう
勇気があろうとなかろうと
花束は捧げられるから
なにげに受け取っておくれ