ひなた野乃子のブログ

その日その日のつれづれ日記です。竹本祥子、祥で詩を書いています。

砂に消えてゆく (継ぐより)

砂時計の砂が 細い道を通って

するすると落ちる

さらさらと砂の山ができていき 時間が来ると 止まる

砂の上に私は居る ぺたんとへたり込んで居る

ガラス張りの小さな世界に 閉じ込められ 私は居る

 

胸の高鳴りの高かった頃に比べると

ずいぶん あなたを見慣れてしまった

ガラス張りの砂の上に私を置いて

あなたは私を擦り抜けてゆく

高鳴りは止まないのに 私にはとどまらないのだと言う

 

何かが違うのだと言う

さようならの時が近づいていると分かっていても

私はまだガラス張りの砂山の上にへたり込んで居る

同じセリフに辟易したから別の戸を叩いてみても同じこと

今はただ砂山にへたり込んでいるだけしかできない

 

砂時計が割れて時が止まった時 あなたの価値が分かる

のかもしれない

そんな人の出逢いもあるのだと銘じる

砂時計を転がして

また新しい時を刻むのだと決心し 私は ふと 歩き出す

 

夕暮れのレストランのグランドピアノの音色に

ドギマギすることも

いつか なくなって欲しいと願って