ひなた野乃子のブログ

その日その日のつれづれ日記です。竹本祥子、祥で詩を書いています。

半生

「水色のこんぺいとう」とは違う色合いの作品です。

読んでみてくださいね。

 

 

「半生」

 

欠片がパラパラとおちたのは

気のせいだったのか

まだ 成長しきらない

五十路の女の躯体から

溢れ出す

怨念とも

邪気ともつかない

粋色の

香典返しのような

パヒューム・ミュゲノート

葉っぱに丸めて

楊枝でさして

大切にしまい

かりてきた

衣装のような

あつらいの

ココロから

出てくる

数々の言葉たち

口を結んで

嗚咽される

孤の魂が

ゆらめくとき

何物にも

邪魔されない

ワタクシが

存在する

 

水を含んで

言葉をつまんで

垂れ流される

淫靡な誘惑を

四肢に絡めながら

黄色い嘴を

暗喩でくるめて

努力だけを

買ってはくれないかと

バイタになってはみたものの

国道10号線の

ピンクな看板の

20年前の構築物の基礎が

こわれてゆくと

文句をつける

 

妹はすでに

わたしの何倍も生きた

何倍もの生は もはや

わたしにはやっては来ないだろうけど

己の手を見

己の手の先の爪を見

顔の皺を見て

互いに寿げればと

紙ヒコーキをとばす

 

いのちという欠片が消えないうちは

エプロンの紐を結び

それでもミュゲノートを

振りかけながら

ワルツを踊る