今年、還暦。時間がない。あと、生きて20年。
脈絡のある生き方、してきていない。
まぁ100歩譲って、それなら自分として「詩」に
どれくらい費やしてきたか・・・
それでも、最近、坂多瑩子さんという詩人に出逢えたじゃないか。
遅くても、いいから大事にしていこう。
これまた坂多瑩子さんの御詩をご本人の承諾もなく転記させていただくのですが、
ご了承ください。
スイカと柿
見切り品のスイカを食べながら
と書きはじめて
見切り品の柿 とおきかえてみる
決めかねていると
どちらでもいいように思え
それでも決めかねていると
季節が違うと声がする
見切り品なのだ
ぴりりときて
もうだめだ
そのうちあたしの舌先もベロンとして
考えてもしょうもないのに
そういうときにかぎって新しいことがひらめく
スイカと柿を描いて
白かべのトイレに貼る
そしてどちらにするか決めるのである
するとトイレの床がペコペコ傾きはじめた
古い家だからしかたがない
工事屋にきてもらうと
ついでだから奥さん
壁と天井も と
スイカと柿をベリッとやぶり
あっさり
すてられてしまった
坂多瑩子 作