ひなた野乃子のブログ

その日その日のつれづれ日記です。竹本祥子、祥で詩を書いています。

とべない魚 (継ぐより)

とべない魚

                  竹本祥子

 

とべない魚

未満で納得するから

でも 消えない 胸のもやもや

 

別に道はない

もしかしてなんて

こうだったら こうだったなんて

仮定してみても

未遂に終わっている

 

現実を見よ

自己欺瞞だぞ

水を得て なんぼのものだ

諦めよ

断念せよ

 

とべない魚

届くの 届かないの

この気持ち

あれも 未遂 これも未遂

 

実行せよ と

エンターキーが押される

 

携帯を鳴らす

銃を撃つ

着信する

着弾する

血まみれになるから 実行しない

だって 決戦は 恐いもの

 

とべない魚にだって 生活はある

湯が沸騰している

煮えている

とぶときなど 来ないから

 

これは諦めじゃない

生活だ

目を覚ませ

花びらのような (継ぐより)

花びらのような

             竹本祥子

 

沿線の脇に咲いたという花が

花の花びらが

うす桃色に色づいて

茎からたおれて風に飛散してゆく

 

追いかけもしないが いつまでもその飛散してゆく方向を

視点も定まらず 追ってゆくあたし

 

あたしに今まで何があって

あたしにこれから何があるのか

花占いなどしないよ

 

ころころ転がれ 人の生きる道とやら

ころころ転がれ 幸も不幸も

 

次から次へと

ただ一点に今に集中すれば

点が線になる

 

集中もこときれて 点線で生きてゆくことを

選択したあたし

 

飛散してゆく花びらのよう

白い風景 (継ぐより)

白い風景

            竹本祥子

 

すーっと 風が 吹く

片方の頬 を かすっていった

その感触が

むかし 海の中にいたときの 肌ざわりのような

不思議な ひかり

    空気

手を陽にかざし

その ぬくもりを 感じる

 

風が ここちいい

不思議な 感覚

一日中 その風にあたって

   ひかりにさらされて

かつて 見たことのあるはずの 風景が

白い

今は 海の中

白い 風景の中で わたしは 息をしている

夢中 (水色のこんぺいとうより)

夢中  

         ひなた野乃子

 

はじめまして

こんにちは

これからヨロシク

お願い致します

 

何度も

何度も

繰り返す

 

無理な事に

チャレンジするのを

辞めたとき

 

夢中という

みやげを

もらった

白く降る

白く降る 

                   竹本祥子

 

白く降る

白く  消えてゆく

 

こんな

ぬるい

風に

季節の香はない

 

子の成長などは

人ごととはいえ

しあわせな気分になる

 

年月の

白い

重なり

飽食(延命あるいはサボタージュより)

飽食

             竹本祥子

 

行き倒れのはずだった

異次元の世界を旅していた

わかい わかい とき だった

 

梨畑のはずれにある

公園のブランコで

ひとり太陽と戯れていた

わたしを射す光は 影をつくり

その陽の暗くなったところを

ずっと見詰めていた

 

ブランコに揺られながら

爪先で土を蹴り

でんき屋の女店主の顔が

たぬき顔だと

母に

言いつけした

あの頃・・・

わたしは

蒼く興奮していた

 

ふやけた輪郭の花の名前を

アンダーバーで強調して

わたしを殺す

殺したわたしを

その花で埋め尽くし

影がなくなった頃を

みはからって

火葬する

 

そんな現実は つよいから

たぬき顔の女店主の

愛想笑いをかりて

質屋に入れる

愛想笑いだから

そのまま流れて

わたしは

自分の灰にまみれる

 

一週間に一度も許された

通院を

化粧箱に入れて

大事にしまうと

通院カードが

折れ曲がって

受付嬢が

新しいのと

取り替えてくれた

わたしは

前のに思いいれがあるから

残念に思ったけれど

また 新しいカードも

いいころあいに

しなびてきた

 

わたしは

あのころ

餓死に 無縁なほど

食べることを

忘れはしなかった

マウスと口紅

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マウスと口紅

マウスと口紅です。

 

なにげなく 写真 撮りました。

マウスの 赤が いい。

 

口紅、マスク生活で しなくなりました。

 

あんなに 口紅、好きだったのに・・・

 

収束したなら、 うんと つけよう。