延命あるいはサボタージュ
竹本祥子
50年前から瞬間移動して
立っているのは砂地で
サラサラと水は引き
虹色に輝く小さなシャボンが
割れて
縁のない者同士の熱い指切りだけに
交感神経が逆立ち
孤高のメロディを聴きながら
ここから入っては駄目だと
白線を引く
濃い血の輪の中の台所のノブは
閉ざされたまま
明日 心臓が止まるかもしれないと
毎晩両手を組みながら
寒い夜でも火の中に居るようで
冷風にあたりながら
いつまでもいつまでも明日起きる時間の
目覚ましの針を先延ばしにしてゆく