ひなた野乃子のブログ

その日その日のつれづれ日記です。竹本祥子、祥で詩を書いています。

非在 (延命あるいはサボタージュより)

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非在

非在

          竹本祥子

 

小さく裂かれた水泡状の糸

欺かれた 己の純情

 

しろく しろく あれと

願う母の 幼い頃の笑みを

裏切って

ふくらすずめで 結ぶ帯

 

あかく あかく あれと

願った祖母から

ななめの 眼差し

 

己のここまでの時間が

線でないのは

恐れることだとしても

白衣を着ない ドクターが

三種類の錠剤を

処方しながら

カウンターテーブルで会釈する

 

冬の幻で聴いたアルトサックスで

満腹になった己の問題は

純情の非在