波に
竹本祥子
波が立つ
向かうココロは 刃で ばさばさに切り取られる
遠くに 光る 発光物体
昔 運動場に白線で引いたように
自分の陣地を囲んで 守る
二十四時間 鳴らなかった携帯の着信音
今朝 鳴った訳は
淋しそうな朝焼けを 波が哀れんだから
津波なら 受けて立つものを
刻まれて 青く
流されて 白く
炎は 消せない
今からでも 間に合う
私に 毒蛇が棲むのなら
灯台の指す灯火が 明る過ぎるから
日が昇る朝が また来るから
このままでいよう
波に任せて