母の手
竹本祥子
母が助手席で話す
わたしが小さい時
離乳食を
ぱくぱくよく食べていたこと
その離乳食は
固いお米から土鍋で炊くこと
ほうれん草や人参を
細かく切って混ぜ
食べさせたことを
包丁の手真似までしながら
母も もうすぐ九十歳
耳も遠くなり
カーラジオの
ボリュームを上げる
「楽しいね」
母の手が小刻みにリズムを打つ
今日も
ドライブスルーに寄って
好物のソフトクリームを
母の
しわしわになった手に渡す
母の手
竹本祥子
母が助手席で話す
わたしが小さい時
離乳食を
ぱくぱくよく食べていたこと
その離乳食は
固いお米から土鍋で炊くこと
ほうれん草や人参を
細かく切って混ぜ
食べさせたことを
包丁の手真似までしながら
母も もうすぐ九十歳
耳も遠くなり
カーラジオの
ボリュームを上げる
「楽しいね」
母の手が小刻みにリズムを打つ
今日も
ドライブスルーに寄って
好物のソフトクリームを
母の
しわしわになった手に渡す